競売 公売 ときどき断行(強制執行)

不動産の競売や公売のあれこれ たまに強制執行について話します

シッコウ!! を見終わっての感想

 

 

本放送からちょっと遅れちゃいましたが、ネトフリでテレ朝系のドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」を最終話まで見ました。

補助業者として5000から6000ほどの執行現場に立ち会った私としては、なんとなく雰囲気はとらえているものの、細かいところでは間違いというか、微妙に気になる点が多かったです🤣 執行官の元職の方が考証しているみたいですが、数十年前に退職した方かどこかの地方の執行官だったんだろうなあと思います。

 

毎回のように違和感を感じていたのは、公示書を紙そのままで壁に貼るところ。思い出せば20年くらい前までは、たしかに紙を直接、壁に貼付していた記憶があります。んが、一都三県の執行官は最近はほぼ全員が下記のようなクリアポケットに公示書を入れてから、壁に貼り付けています。いまだに紙を直貼りしている地方があるのかもしれませんが、東京近郊ではまず見かません。

クリアポケット amazonのクリアポケット販売ページ

 

公示書がなんだかわからんという方には、コピーを示します。あまり公になる文書ではないので、わざと画像小さくしました。すみません。要はいついつまでに出て行かないと、○月○日に強制執行しますよ、というお知らせ文です。執行官によってスタイルが若干違ったりしますが、書いている内容はほとんど同じです。明渡の執行の場合は、下記のような公示書を玄関入ってすぐあたりの壁に貼るのがデフォルトです。部屋の壁に貼ることもありますが、それはまあ、特殊な場合です。

 

 

 

ちなみに東京地裁でも執行官の部署は「執行官室」ですが、ドラマにいた執行官室の「室長」は私の知る限り存在を知りませんW 執行部の「部長」や「幹事長」はいるんですけどねえ。人数も昔は東京本庁の執行部だけで30人以上いたんですが、いまは東京本庁で7人、立川で4人……。ドラマの執行官室は、人数的には、比較的人口が多い地裁の執行官室でしょうねえ。間違っても東京地裁の本庁じゃないです。目黒にはあるんですけどね、東京地裁本庁の執行官室。ドラマは南目黒でしたっけ?

 

さらにさらに、すんごい細かい話ですが、たしか1話目で、執行事件の件数を月100件とか話していましたが、ちょっと少なすぎますヨW 令和5年9月の現時点で、東京地裁本庁の住宅明渡執行、いわゆる執(ロ)の事件だけで4000件をかるーく超えています。月500件にちょっと欠けるくらいです。これに動産差押えなどの執(イ)事件もありますから。だいたい月100件というと、東京地裁でも立川支部とか、さいたま本庁、千葉本庁、神奈川本庁あたりの件数だったりします。

 

防犯的にいろいろマズイからなんでしょうけど、開錠技術者(いわゆる鍵屋)のカギ開け風景も違和感ありまくりでした。そもそもピックと呼ばれる特殊工具を使ったピッキングは、下のようなシリンダー錠でしか使えません。

出典/小学館 デジタル大辞泉より

最近主流の鍵穴が横だったり、カギに凹みが刻まれているディンプルキーを使うタイプのカギは、ピッキングじゃ開きません。そんなことできる鍵屋、見たことも聞いたこともありませんW

 

 

MIWAロックのディンプルキー PRタイプ



ドラマだし、細かいところまで検証しきれないのはしょうがないですが、細かいところが気になりすぎて、どーも感情移入できませんでした。

 

最終話の子どもの執行ですが、最近はかなり運用が変わって子どもが拒否すると執行しないんですが、ひと昔前は、学校なり保育園、幼稚園等に出向いてかなりむりやり行っていたりしました。担当の執行官が「今日は誘拐にいってくる」って自嘲するのを何度も聞いた記憶があります。

 

あ、そうそう、執行官とか補助業者とか鍵屋の服装は、なんとなーく雰囲気とらえていました。まあ、なんとなーくですけど。

 

 

これ、ぜったい落札しちゃいけないヤツだあ?w (個人の感想です)

 

本日9/22からの特別売却(期間入札では入札がなかったので、早い者勝ちで買えるよう変更した)物件で、個人的には

絶対入札しちゃいけない

って思っている種類の物件を見つけました。さいたま地裁川越支部令和5年(ヌ)2号事件です。売却基準価額は216万円ですが、今朝10時に裁判所に行って、他に誰も競争相手がいなければ、172万8000円で落札できる物件です。狭山の昔の公団団地で、一般売買なら350万前後で売られている物件なので、200万円以下なら破格は破格です。が、私はぜったーい買いませんし、たぶんよく知っているプロ、セミプロも入札しません。

3点セットの外観写真のページです

 

買ってはいけない理由は複数あるのですが、この物件にはかなり強力なダメポイントが複数あります。

 

その① 引渡命令が出せない賃借人が家賃滞納中。

家賃額は5万2000円と高めで収益物件とすると、なんだかんだで300万(落札価額+登録免許税+滞納分等、)で買えたとすると実質利回りで15%を超えてきます。表面利回りだと20%越えです。悪くはありません。んがあ、3点セットには、以下のように書いてありますw

賃貸借契約をしてから一度も家賃は支払ってません

賃貸借契約をしてから一度も家賃は支払ってません

大事なことなんで、2回も書いちゃいましたw 遅れたどころじゃなく、一回も払っていないんです。生活保護もらえば払えるのに、それすらしないって、どういうこと?

 

しかも、しかもです。3点セットには、こうも書かれています。

 

最先の賃借権というのは、かいつまんでいうと、買受人が買ったから「出て行け」とは言えない賃借権のことです。もっとも、買った→家賃が払われない→明渡の裁判→強制執行……という手順を踏めば、追い出すことはできますが、そんなことしていたら、たぶん実質の利回りは10%以下になってしまいます。投資家は買いません。そんなの。もちろんプロもセミプロも見向きもしません。

 

 

その②

古い公団物件でエレベーターがない5階建てである。この時代の公団物件には、エレベータがなく、5階だとそこまで階段を上らないと行けません。それなりに需要があるのは1~2階までで、この物件は2階なので、その点はいいのですが、3~5階が需要激減すぎて格安でも売れなかったりするため、それに引っ張られて1~2階も安値安定です。

 

その③

関連部分を3点セットから抜粋しました。以下のとおりです。

 

 

区分所有法の規定で、管理費や修繕積立金等の滞納分やそれにともなう遅延損害金、弁護士費用等は、物件を買い受けた特定承継人にも引き継がれます。令和5年9月までだとすると滞納分だけで88万5000円ほど。他に遅延損害金と弁護士費用(費用不明)がかかってきます。

大事なところは、弁護士という記述の有無です。弁護士が介入している案件では、遅延損害金はきっちり取られると思ってください。管理組合との交渉であれば、遅延損害金くらいマケてくれたりします。実際、マケてもらったことも何度もあります。でも弁護士が介入していると、ほぼマケてもらえません😢 そもそも年利14%とかの遅延損害金。いまや高利貸しクラスの利率です。税金滞納でもそこまで高くないのに……。

 

しかーも、その弁護士費用がいくらなのか、明記されていません。20万なのか50万なのか、100万なのか?

 

この時点で計算するとわかると思いますが、一般物件として売られている同じ団地の物件を買ったほうがよっぽど安い可能性が高いです。

 

その④

ここの管理組合法人は、ビタ1円まけてくれない。なんでそんなこと知っているかって? どうしても物件が買えないときに、特売でこの団地の物件に手を出しちゃったことがあるんですw かなり昔ですが。

で、その時ですが、滞納の管理費は買受した即日に払いました。しかもその分は、前所有者の転居先を探して、きっちりいただきました。でも、前所有者から遅延損害金までは請求できませんでした🤣 さすがにそこまはと思ってしまったんです。

で、遅延損害金くらい管理組合のほうでいくらかマケてもらえないかと、かなーり交渉したんですが……、ここの管理組合はビタ1円もマケません。なので、以来、この団地は入札からハズしています。

そもそも前所有者は、隣駅に居住していて、私もすぐに会えたくらいなので、管理組合で探そうと思えば探せたと思います。前所有者は滞納分の支払も分割でしたが、すぐにやってくれました。探して請求していれば、たぶん遅延損害金は発生しなくて済んだのではないかなった

たぶん、私と同じ目に遭った方は、かなり多いのだと思います。この団地の競売、公売物件は、他の団地と比較しても、かなーり不人気です。

 

逆に、管理組合によっては、滞納分の管理費等を免除する決議をしている旨が、競公売の公告や3点セットに書かれていることも、少ないですがあったりします。入札する人がいないと、ずっと空き家のまま売れず、結局、管理費も修繕積立金ももらえず仕舞いで、最後には管理組合で買うしかなくなってしまう。ってケースも少なくないからです。早めに売れたほうが、結果として管理組合としての利益になるという判断なのだと思います。

 

どちらが正しいのかは、なんとも言えないところですが、私は個人的にこのS団地物件は買いません。

この特別売却で売れなければ、8割くらいの再評価額で再度、期間入札の公告が出されることになります。売却基準価額が170万くらいになる計算ですが、そうなると最安での落札は170×0.8=136万くらい。このくらいになってくると、事情を知らない方が落札してくると思います。でも今住んでいる居住者に出て行ってもらう手間ヒマお金を考えると、安いとは言えません。

どれが安いかw 狙い目はどれ?

当たる!? かわからないけど、狙い目(^^;)

 

なかなか現地に物件を見に行けないので、机上で検討できる物件をひとつ。数多く3点セットをみていると、たまーにこういう物件に見かけます。債務者が多数の不動産物件を所有していたため、事件番号が同じ。ただ最後の物件番号だけが違うっていうやつ。

 

今回見つけたのは、同じマンションの部屋番号違いが7件出ているもの。後述しますがこういうときって、おいしい物件があったりします。

 

東京本庁令和4年513号  物件番号は1~7。画像は981.jpの業者用検索画面のもの。こういう物件見つけるのは、裁判所の公式HPより981の方が見つけやすいです(^-^) ポジショントーク若干含まれています🤣

安い順に順番で並べ替えてみましたw 1件除いて賃貸中のため、家賃も比較です。

 

① 最安は物件番号4 売却基準価額(以下略)2020万円

2階202号室 家賃10万円

 

②物件番号6 2066万 

3階302号室 家賃7万円(夫の死後に半額にマケてもらったと書かれている)

 

③物件番号3 2089万円

2階角部屋201号室 家賃13万2000円

 

④物件番号2 2180万円

1階102号室 家賃9万2000万円

 

⑤物件番号1 2249万円

1階角部屋101号室 家賃10万円

 

⑥物件番号5 2364万円

3階角部屋301号室 家賃10万3200万円 

 

⑦物件番号7 最高値2437万円

債務者が住んでいた(荷物そのままで夜逃げした様子)4階角部屋401号室

 

室内状況や管理費滞納額等たいして変わりません。物件番号7だけ、居住者がいない状態です。破綻して夜逃げしたんでしょう。でもよく見ると、値段の並びがフツーとはちょっと違います。

マンションの値段はフツーに考えると 2階→1階→3階→4階。

同じ階なら、中間住戸→角部屋

 

本来なら①③④⑤②⑥⑦って並ぶハズなんですが、鑑定評価に賃貸物件として値段を出す項目があり、そのせいで家賃が低い②が低めになっています。つーか、同じところにある中古物件で新築でもないのに2階と4階で400万も評価額が違うのは、ちょーっと実勢とは違うような気がします。

そもそも転売する際の価格は、同じリフォーム施したら、200万程度しか変わんないような気がします。ちなみに相場は㎡単価55万程度なので、そのままの中古3400万、リフォームして4000万くらいですかね?

 

同じマンション内で、こんだけ同じ間取りの物件が出ると、どーなるか? 過去にも何度もみているんですが、評価額なんてカンケーなくなぜか入札が集中しちゃう物件が高くなり、なぜか入札が少なかった物件が安値で落札されることがあったりします。ヘタすりゃあ安い物件は入札1件で、売却基準価額以下、高い物件は倍以上になっている!のも過去にはみました。このケースでいうと、安いのは2000万ほど、高いと4000万とかですかね? まあ入札があつまりやすい東京の物件なので、そこまでは差はつかないかもしれませんが。

 

とにかく相場と落札価額は比例しないってことになると思います。

私が大変な金持ちなら、7件すべて安値入札してみたいところですw 😢

期間入札の公告の日付部分だけ抜粋してみました。

 

入札期間はこれから、開札は10月11日なので、結果はどうなりますか?

 

不動産競売の基礎知識

今回は文字だらけです。すみません。

 

前回は、いきなりプチ物件調査(役所調査をはぶいているので)のことを書いちゃいました。競売に詳しくない人だとピンとこないところがあったかもしれません。そもそもフツーの人はいったいどのくらい知っているもんなんでしょう?

 

まあ不動産ですら、不動産屋にでもならないかぎり、あまり専門知識は必要ないですもんねw 自分が知っているから、他人も知ってると思い込んで書き続けてもいいんですが(どーせヒマつぶし自己満ブログなんで)、ひととおり基礎知識みたいなもの解説しておこうと思います。

 

一昔前と違って、競売に関する書籍もずいぶん多くなりましたが、「あなた何回入札落札したことあんの?」って問い詰めたくなるくらい、へーキでウソを書いている本すらありますから。ちょっと前に書いたマジメな小冊子用文書の改編なので、固めの文章なのはご了承くださいm(_ _)m

 

 不動産競売の基礎知識

あまりピンとこないかもしれませんが、競売物件に入札・落札することは、お金を払って裁判所の扱う競売事件の当事者になるということです。お金払ってわざわざ事件の当事者になろうってんですから、物好きですよねえ(^_^)

 

で、すべての事件は裁判所では、個々に事件番号を付けられます。競売事件なら、東京地裁本庁令和5年(ケ)12345号とか、東京地裁立川支部令和5年(ヌ)12345号などなど。最初から順に、

  • 管轄の裁判所
  • 申立の年度
  • ( )内は符号
  • 申立順の番号と決まっています。

テレビなどでは競売を「きょうばい」と読んでいますが、裁判所では「けいばい」といいます。不動産屋も「けいばい」ですね。

 

 競売事件には、担保不動産競売事件と強制競売事件、そしてごくまれですが形式競売事件の3種類があります。

 

①担保不動産競売事件

いちばんよくある競売です。不動産に設定された担保権(主に抵当権)を実行するため不動産を差押えて売却する手続で、事件番号の符号は(ケ)と表示されます。不動産の購入時にローンを組んだけど、それが返済不能で競売に……というのが一般的なケースです。ただし商売上の運転資金や根抵当などで金融機関に融資を受ける際に抵当権を付ける場合もあり、その場合などは、土地の一部が競売から漏れているなどのケースがみうけられたりします(実際、私はそういう物件落札したことがあります)。誰が担保権者なのか登記簿の確認は必須です。

 

②強制競売事件

借金返せや!って裁判に訴えて、不動産を差押えた場合がこれ。判決や裁判所での和解、調停で決まった内容を実現したり、公証人が作成した公正証書(執行文認諾条項付き公正証書など)の内容を実現するため不動産を差押え売却する手続で、事件番号の符号は(ヌ)と表示されます。

 

③形式競売事件

遺産分割、共有物分割、破産手続上などで、不動産を売却してお金に換える必要があるときに競売手続を利用するものです。事件番号の符号はその性質に応じ(ヌ)又は(ケ)と表示されます。実務上はほとんどが(ケ)です。

 

いずれの競売事件も売却手続自体は同じです。

 

こんなかで、要注意なのは(ヌ)の強制競売事件。わざわざ裁判を起こして差押え競売にかけた債権者と、それでもお金を払わなかった債務者がいる(かもしれない)、まさに「競売事件」なのです。(ヌ)の事件は売却基準価額がかなーり安めなため注目されがちですが、落札によって更に揉めるケースや持分だけの売却なども多く、競売初級者は避けたほうがいいかもしれません。ていうか、避けましょうw

 

これ以外でも安すぎる物件には注意です!
競売物件みていると、ときどき1万円とか2万円とか、数十万円のマンションなんかがあります。「安~い!」って飛びつくのは厳禁ですよ!! そもそもマンションの場合は区分所有法で、滞納管理費・修繕積立金・遅延損害金は、競売の買受人に支払い義務が。ついでに、弁護士費用なんかも支払う必要があるケースもあります。

さらに安すぎる戸建ての建物にも注意が必要です。土地の利用権がないって場合や、最悪の場合は更地(建物収去土地明渡)にして地主に返さなきゃいけないって物件もゴロゴロあります。返還単独で利用できない持分割合のみ売却の場合は、おもしろかったりするんですけどね。

 

競売のメリットとリスク

競売の最大のメリットは安く買えること、これが以外にあまりありませんw 業者も一般消費者も、同じ土俵で公正なシステムで競り合うことも利点ではあります。

 

逆に競売ならではのリスクは数多く存在します。

明け渡されるまで内覧できない。物件調査を短期間で終わらせなくてはならない。明け渡しのトラブル等々……。買受け後のトラブルは、民法その他の法律にもとづき当事者間で解決するしかありません。裁判所は仲介責任を負いません。契約不適合責任もありません。リスクはほぼ自己責任です。まあ、解決までの道のりを面白がれると、これ以上ない娯楽だったりします。ドキドキしますからw

 

競売物件と通常の不動産取引と比べて、以下のような違いがあります。
① 建物内部の確認をすることがむずかしい。内覧制度もあることはあるが、現実にはほとんど実施されていません。
② スムーズな物件の引渡しが保障されていない。場合によっては、何らかの利益を意図した「占有屋」と呼ばれる人々が占拠しているケースもあります。特に一都三県で空き家の競売物件を狙う場合は「タ○ハシ」って占有屋に注意ですw 一度捕まって刑務所に入ったハズですが、1-2年前に出所したみたいで絶賛活動中です🤣

③ 鍵の受渡し等について裁判所は仲介してくれません。物件の元所有者や占有者は自分の物件を強制的に売却された人たち。引渡命令、訴訟など法的手段が必要なケースも多くあります。
④ 売却残代金を早期に納付しなければならない。売却許可決定後約1か月ほどです。
⑤ 契約不適合責任はありません。物件に何らかの欠陥があっても、売却の取消しや損害賠償請求ができないケースが多く、できたとしても訴訟等が必要となるなど困難です。

 

競売手続の概略
                                        
競売手続は厳密にいうと、不動産に競売開始決定の差押登記で始まります。

そうはいっても、買受希望者にとっての競売は、期間入札の公告がなされて、同時に3点セットの閲覧が可能になったところがスタートです。

3点セットは各管轄地裁で閲覧できるほか、執行裁判所の公式サイトである不動産競売情報サイト(http://bit.sikkou.jp/)のほか、不動産競売流通協会(FKR)運営のサイト(http://981.jp/)でも閲覧が可能です。

BIT 不動産競売物件情報サイト

競売不動産検索サイト!981.jp

個人的には、掲載が半日程度遅いという欠点を除けば、981.jpのほうが各種検索機能が充実して使いやすいです。

 

期間入札と特別売却

 

競売物件の売却方法には、期間入札と特別売却の2つの方法があります。通常は期間入札の公告に、特別売却の期日も併記されています。

①期間入札 一定期間中に入札を受け付け、開札期日に開札。その結果、買受可能価額(売却基準価額の8割)以上で、もっとも高い金額で入札した人を最高価買受申出人に指定して売却許可決定を受ける資格を付与する方法です。

ようするに一番高い値段をつければ落札者になれます。入札書に金額を書いておこなうオークションだと思えばいいです。入札の際は買受申出保証金(通常、売却基準価額の2割)を納める必要があります。

 

②特別売却 期間入札の結果、適法な入札者がいなかった事件が対象です。特別売却期間内にもっとも早く買受可能価額(期間入札のときと同一価額)以上の額で、適法な買受けの申出をした人が売却許可決定を受ける(落札者となる)方法です。

特別売却のスタート時間に複数の買受希望者がいた場合どうなるかって? 抽選とかじゃありません(ちょっと前まで、「特別売却は抽選」ってウソ書いていた本がありましたw)。その場で入札書を書いて提出し、もっとも高い価額で入札した人が落札できます。買受申出保証金は、窓口まで持参する必要があります。

 

なお期間入札の入札書類は郵送もOK! ですが信書便だけという法律上の制限があります。郵便局のレターパックは○ですが、メール便はダメです。

 

競売不動産の現地調査① 東京地裁本庁令和4年(ケ)619号



わりと近所に手頃な売却基準価額の戸建てが競売に出てたので、現地調査というほどではないけど見に行ってきました(❁´◡`❁)。 この物件には入札しませんけどね。本気度MAXの入札する気マンマン物件から、ちょっと気になるなあって程度の物件まで、時間が許せば現地を見に行くことが多いです。

 

つーか、現地に行かないとわからないことが、多々あるんですよ! 写真のキャプションでもタネ空かししてますけど、この家のドア、鍵穴がない電子錠でした。落札後に元所有者と交渉して鍵がもらえなかったら、カギ開け困難案件になります🤣 解錠や交換にかなーり手間がかかります。築年的にも設計書類も欲しいところですから、元所有者には会いたいですねえ。

ちなみにもっと大きな発見もあったんですが、それは最後まで引っ張りますw

 

外観は、写真のとおり。夕方だったので写真が暗くてすみませんm(_ _)m

ちょっと小さいけど、ドアに注目。鍵穴がない電子錠です。。
これはのちに大問題になってくる可能性があるんです

裁判所の3点セットに載っていた物件概要

期間入札の公告:令和5年8月30日

入札期間:同年9月14日~21日 開札:同9月27日

土地:50.14㎡ 42条1項3号の5m私道に約7.8m接道 

建物:50.11㎡(木造2階建1LDK) 平成30年6月30日築(登記)

 

上から目線で申し訳ございませんが、この3点セットの中の評価書を書いた不動産鑑定士さんは、まあまあの仕事してます。てきとーな人もホント多いんです。

んがあ! せっかくホメたのになんですが、下水道が「敷地へ引き込んでいると見られる。引き込み経路はわからない」とか上水道「北西側隣地を経由して引き込まれている。隣地の利用に関する取り決めの存否・内容はわからない」ってカミングアウトしています……。

大事な大事なライフラインに関してが不明すぎませんかあ😭 とはいえ、建築計画概要書の内容は確認してくれていて建築主は判明してるんで、ggrks(ググれカス)! 建築販売業者は、すぐ近くの建売屋さんぽいです。建築10年以内(新築住宅の保証期間内)なので、所有者になればそこら辺のことは、建築主売主に聞けば判明するかもしれません。

 

ちなみに3点セットがなんぞや? という方は、次回以降の記事で解説する予定ですので、ご了解ください m( _  _ )m 下記のリンク先で見ることでできます。BIT(ビット)のほうが公式HPですが、981.jpの方が検索しやすいですポジショントーク込みw)

BIT 不動産競売物件情報サイト

競売不動産検索サイト!981.jp

 

 

公図や登記簿取得してみた

物件調査するときはかならず当該物件の登記簿、公図、あれば地積測量図、必要ならば隣地の登記簿も取得します。昔は法務局行って、地図で地番調べてから申請してを繰り返す半日がかりの、そりゃあ大変な作業でした。が、いまは便利なネットサービスがあります。単価もちょっとだけ安いです。

登記情報提供サービス (touki.or.jp)

ものの10分ちょいで物件の登記簿と公図、ついでに私道の登記簿も取りました。この土地は平成23年にも整理回収機構に債権譲渡されたことがあるみたいです。

 

ちなみ今回の差押えの原因になった債権は、債務者の物件取得と同日なので、住宅ローンですね。楽天銀行なのでフラットかなあ? 3050万が債権額なんで、フラットだとすると新築物件価格は3980万~4180万ってとこかなあ、とか登記簿みてるだけでいろんな想像ができちゃいます(^-^)

 

私道持ち分がないいい!

3点セットでは前面道路に関して「私道敷きの管理・使用に関する当事者間の取り決めの存否・内容は分からない」と書かれています。所有者は複数個人。地番でも1041-4、1041-43、1048-3あたりが前面道路っぽい。この持分があって、債権者がちゃんと把握していたら、今回の競売の対象になっていたんでしょうけど、残念ながら競売の対象物件は家の敷地と建物の二つだけ。まあ私道の登記もチェックしましたが、見事に持分がありません。持分がないと、普通に住んだり生活したりする分にはなんの問題もありませんが、家を建て替えるために道路掘削したいとか、車で通行したいとかって場合に問題になります。地主様の承諾を事前にもらっておかないといけないんですよ……。そのあたりも落札できたら建売業者に確認ですね。

 

余談ですが、この物件が建っている練馬区には、敷地の最低限度が決められています。当該地では80㎡で、それ以下だと建物が建てられません。この物件はそれ以下です。まあ制限がかけられる前に分筆されていて、他にもいろいろ条件あるのですがそれらがクリアできれば建築OKなんですが、そのあたりは入札前に練馬区の建築課に詳細確認したほうがいいかもしれません。

 

人の気配がしない!?

個人個人で違うと思いますが、現地調査のクライマックスは債務者とのコンタクトだと思っています。東京の競売物件だと、競売の公告にいたるまで、最初は取立の債権者、次は任意売却をすすめる不動産業者、最後は3点セットを見てやってきた業者や個人……、もうチャイムがなってもぜったいに出ない!って思うほど、わんさか人がおしよせているはずです。

でももし、チャイムならしてドアを開けてくれたら、3点セットじゃ分からなかった(写真が数枚しかない)玄関の中とか債務者の雰囲気、人柄なんかを感じることができます。せっかく現地までいったのですから、チャイム鳴らさない手はありません。まあ、家が競売になっていること知らない家族が出てきて話をしたら泣かれた、ってことも過去にありましたけど。

 

でもこの家、チャイム押す前に気が付いていたんです。物件調査でダテに数千件以上の家を訪問していません。👍 なんか人の気配がないような?

 

3点セットの写真だと自転車が数台とまっていましたが、私が撮影した写真には自転車ありません。テレビドアホンの赤のパイロットランプ(運転中ランプ)も消えています。まあ、たまにチャイムなるのが嫌で、切っている人もいますが。

 

予感がしたので、横にあった電気メーターをスマホの望遠カメラで撮りました。拡大すると……

赤丸の中、見にくいですが……⚫が上下に2個見えると、通電していないサイン

この猛暑の中、電気が止まっています。電気を止められた? それなら雨戸シャッター開けて明かり&空気入替してるはず。

 

つーことは? そう、早くも所有者は転居済み! 競売初心者の方は住んでいる人がいないほうが良いと思いがちですが、私は個人的にそのまま住んでいるほうがありがたいです。交渉して鍵ももらったりできますし、設備の状況とかも聞けますし。

 

落札後、競売の記録の中に事件関係者だけが見ることができるものがあるのですが、その中に債務者の電話番号等が残っていればいいのですが、無ければ債務者の居所を探す手間が必要です。なんてったって、この物件、鍵穴がない電子錠なんで、鍵ないと開けるの困難です。街の鍵屋呼んだって1000%空きません。

 

 

ちなみにこの物件、いくらぐらいで落札できるでしょうか? 1773万円が売却基準価額です。最近の東京地裁の物件は売却基準価額の1.6倍~2.5倍くらいで落札されています。単純計算では2900万円~4400万円となります。とあるシステムで平均落札額を計算すると3900万になりました。

下記のレインズでの売買価格も加味して考えると、3000万以下だとおいしいけど、3500万円超えると転売益がなくなりそうです。

3100万円~3300万円が落札価額じゃないかなあと、勝手に推測してみました。開札は令和5年9月27日です。どうなりますやら。

 

東大泉売戸建 レインズ情報

 

自己紹介その2  シッコウ!!

自己紹介の続きですw

なおなお、ちなみに不動産のことをメインに書くつもりですが、不動産業や大家業が本業ではありません。スミマセン。

 

テレ朝系のドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」を見ている方ならご存じかもしれませんが、裁判所の執行官の執行作業を補助する「執行補助者」をうん十年やってます。関わった件数はざっと5000~6000件です。が、これに関しては、あまり詳しく書けませんw 気が向いたときに小出しに何か書くことがあるかもしれませんが。諸般の事情により正確に書くことはできません。

 

ちなみにですが、執行に関しては正直にすべて教えてくれる人が少ないからか、一般的ではなさすぎてキチンと理解、検証できなかったのかわからんですが、「シッコウ!!~犬と私と執行官~」には、間違やけっこうヘンなところが数多くあります。

 

リアルタイムではなく、ネトフリ視聴なので第4話までしか見てません。が、その第4話。執行官が美人シングルマザーの家に動産差押え執行に行く話です。フィクションなんでしょうが、現代ではありえないストーリーでした! 30年以上前なら、似たような光景が、どこかで毎日くり広げられてたんですけど、ねえw 

 

動産差押えの執行は、もちろん法律上も制度上も今でも存在はしています。んがあ、平成の最初ころ「生活必需動産は差押えしちゃならない!」って最高裁の通達が出るんです。債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具は差押えしちゃいないんです。具体的には、整理タンス、ベッド、調理器具、食器棚、食卓セット、冷暖房器具・エアコン、衣類、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、ポット、テレビ、ラジオ、掃除機、ビデオデッキ、パソコン、鏡台……。

これによって当時、道具屋と呼ばれていた(ドラマ内では買受業者だったかな?)人々は、食い扶持を失ったんです。売却期日に動産を買った道具屋が、その場で債務者に高値で買い戻しさせて差額で儲けるという商売です。あるのかないのかわからないほど小さな業界でしたが、業界内では激震のできごとでしたw ごくごく親しい方がその道具屋やっていたんで、当時のことはよく覚えています。

 

で、です。ドラマ内で差押えられていたソファや指輪は列挙されておらず、差押えできるだろ? と思うかもしれません。でも現実世界の執行官は、ほぼ日本全国どこでも一般家庭に入ってドア開けたら、即(差押え可能動産がないので)「執行不能と判定しているハズです。日本全国立ち会ったわけじゃないので、断言はできませんがw

 

ちなみに、数年前の話になりますが、不動産明渡執行の催告と同時に動産差押えをする現場に立ち会ったときのことです。某都会の家賃3ケタ万円の高級賃貸物件に明渡の催告のため入室すると、室内にはシャネル、グッチ、セリーヌ、ルイヴィトンetc. 高級ブランド品の箱やバックなどが多数あったんですが……。差し押さえて債権者ウハウハ? なんてことはありません。明渡の催告はしましたが、動産差押えは「不能でした。債権者側の弁護士も同席してましたが、「差押えてくれ」とは言いません。最初から動産差押えはあきらめてました。それが現実です。

ましてはドラマ内みたいな、使い古しのソファやどこのものかわからん指輪なんて、裁判所は差し押さえません! 税務署や自治体の差押えなら、ブランド品や宝飾品など以外でも、換価価値さえあれば差し押さえるかもしれませんが。

 

興味のある方は、下記のページでも見てください。自治体はいろんなもの差し押さえますw 裁判所は一般家庭の動産はほぼ差し押さえません(私調べw)。KSIオークションは、元yahoo公売を継承したものですが、特に不動産のページが見にくくてたまりません。物件一覧のページから、それぞれの物件詳細を見て元の一覧ページに戻ると、元ページの位置を覚えておらず、ページトップに戻ってしまいます。何度か改善してくれとメールしましたが、まったく改善されません。

KSI官公庁オークション(公売・公有財産売却) - 自治体・行政団体が出品する安心なオークション (kankocho.jp)

 

蛇足ですが、本来の意味ではまったく使えない状態の動産差押えは、昔と比べるとホント激減しています。が、最近は別の目的で申し立てる債権者がいます。「シッコウ!!~犬と私と執行官~」のドラマ内でもあったように、動産差押えも最終的には解錠技術者(鍵屋)を連れて不在だろうがなんだろうが室内確認をすることになります。

このとき債権者はいなくてもいいんですが、債権者が立会を希望して、同時に午前6時とか7時とかの債務者が在宅している可能性の高い「早朝執行」を希望すると……。債権者がどんな時間に行こうが居留守を決め込んで出てこない債務者でも、早朝の在宅時に動産執行で鍵開けられたら、ご対面~!するしかなくなります。その後どんな話になるのかは、同席したことがないのでわかりません。なんとなく想像はできますけどw 

最初なので・・・自己紹介

最初なので自己紹介!

競売や公売で手に入れた不動産を中心に不動産投資やってます。とにかく落札さえできれば、すぐに転売益が出せた時代は転売メインでした。が、最近は落札→修繕→賃貸がワンサイクルの大家業が中心になっています。

資産価値よりキャッシュフロー利回り重視のボロ物件投資。有名どころの大家さんでいうと、藤山勇司先生や加藤ヒロユキ先生タイプの投資です。

 

入手した物件あまり売りません(^-^) せっかく手にいれたボロ屋競公売物件手放したくないんですw ボロだろうがなんだろうが、当面の間(たぶん僕が死ぬくらいまで)は、ずっと家賃を産んでくれるハズですから(希望? いえ願望です)。

公売取得のとあるボロ物件、入手直後。4トントラック10台分の残置物がありました

修繕直後。店舗・事務所貸しなんで内装仕上げてません。現在は賃貸中です

ちなみに現在、競売取得物件1件、公売取得物件6件、その他4件を賃貸してます。内訳はアパート1棟、戸建て5棟、区分5戸。エリアは北から札幌、群馬、茨城、千葉、東京、大阪とバラバラ。

平均利回りは実質で20%近いですが、あんまり時間的なコスパはよくありません。こんな効率の悪いシロート投資法を公開しても、誰も興味ないと思いますw 投資手法を読みたいなら、楽待や健美屋のコラム読んだほうが1万倍マシです!

 

で、ここからが本題。ボロ物件競公売物件投資は比較的低リスクですが、レバレッジ投資みたいに次々に物件を買い続けることは無限の資金がないかぎり困難です。自己資金が尽きると、貯まるまでは入札はおあずけ💧💧

なぜかっーと、競公売は落札したら即代金納付しないといけません。融資手続なんて、やってる時間ありません(できる人もいるんでしょうけど)。リフォーム資金は融資受けたりしますが、競公売物件を買えば買うほど手元の現金が減っていきます。で、最後は入札資金が足りなくなり始めます……。現金購入ボロ物件投資の限界ですw

 

フトコロが寂しいと入札も落札もできません。現地にいって物件調査して、入札値段を検討して……ってのがメシより好きな身としては禁断症状がツライ。

そこで

  • ブログネタとして競公売物件の調査や落札価額の推測をやろう!
  • ついでに同好の士(いるのか?)から、あまたある競公売の物件の情報や調べてほしい物件を募集しちゃえ(一都六県しか行けませんが、私の興味と時間があえばタダで調べて公開します)
  • ついでに競売や公売のあれこれ雑記も書いちゃえ
  • 競売や公売に関わるきっかけになった、本業のこともちょっと…(次のネタ)

って、いうのが動機です。まあ、早く言えばヒマつぶし余暇のたしなみです。読んでくれる方がいるのかわかりませんし、いつまで続くのかも不明ですが、なにとぞよろしくお願いいたします。

 

ちなみに、「競売とか公売とかよくわからないや!」という方のために、補足です。競売は「けいばい」と読みます。「きょうばい」、って読んだ瞬間になぜか素人認定されちゃいますw 裁判所に差し押さえられた物件を入札で売却する手続です。根拠法令は民事執行法です。ちょっと前、2015年にセミナー配布資料用に書いた文書がありますので、多少改変して最後に添附しておきます。

公売はそのまま「こうばい」と読みます。こちらは、税金滞納で国税庁や税務署、官公庁に差し押さえられた物件を売却する手続です。根拠法令は国税分は国税徴収法ですが、地方税分は条例によって国税徴収法を援用しているかたちになります。何言ってるかわかりませんよね? 公売物件に関して裁判にでもならない限り、あんまり気にしなくて大丈夫です。ちなみに私は、上記写真の物件で、あしかけ3年以上におよぶ裁判を経験しておりますw

 

 

競売(けいばい)

 不動産競売は、返済不能となった貸金の担保や、民事裁判等によって差押えられた不動産を、裁判所の手続によって買うことができる制度です。かつては専門業者でなければ手がけにくいものでしたが、民事執行法の改正と手続制度の整備が進められ、以前とは比べものにならないほど、公正かつ安全に買うことができるようになりました。

 ほとんどの物件を「競売屋」だけが手がけていた時代を知る者にとっては、まさに隔世の感があります。当時は、手続が面倒な上に制度に不備が多かったため、物件を不法に占有する「占有屋」が跋扈(ばっこ)し、収益を得られるまで時間もお金も「かかる」「怖い」「危険」な「3K」物件だらけでした。競売物件といえば、ハイリスク、ハイリターンな不動産の典型だったのです。
 しかし平成3年以降、数度にわたる民事執行法の改正と関連法案、制度などの整備によって、誰もが競売に参加しやすい仕組みが出来上がりつつあります。特に3点セットをインターネットで閲覧できる「BIT」システム導入後は入札参加者が激増しました。それに比例して落札率も上がり続け、2010年以降は、どの都道府県でも高い水準が続いています。1990年代の東京本庁での落札率は5~8割前後でしたが、2014年度上期は、99.1%という高落札率です。
 この競売不動産人気の理由は、なんといっても市価より2割引き程度、場合によっては半値以下という割安さにあります。最近は落札価格も高めになってきましたが、一般消費者でも業者の仕入価格で購入することが、まだまだ可能なのです。

 とはいえ、不動産競売には大きな欠点があります。物件の権利関係、価格の算定理由、内部の様子などは、基本的に3点セットでしか知ることができません。「競売にも内覧制度があるじゃないか?」と質問されることがありますが、まったく利用されていないのが現実です。もちろん通常の不動産売買のように現地で近隣者に状況を聞いてみたり、役所調査をすることは可能ですが、一番肝心なその物件の権利関係、賃貸借や法定地上権の有無、占有者の情報、物件内部の状態などは、基本的に3点セットに書かれている内容から把握するしかありません。

 不動産競売は、消費者保護制度が整備された宅地建物取引業法下で行われる取引ではありません。民事執行法のもとで不動産を換金する制度で、リスクはすべて自己責任です。そこで失敗しないための第一歩は、なにより正しく3点セットを読み解くことです。

(3点セットの読み方の資料も以前に作ったものがあるので、ネタのないときにアップしていきます。)