競売 公売 ときどき断行(強制執行)

不動産の競売や公売のあれこれ たまに強制執行について話します

シッコウ!! を見終わっての感想

 

 

本放送からちょっと遅れちゃいましたが、ネトフリでテレ朝系のドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」を最終話まで見ました。

補助業者として5000から6000ほどの執行現場に立ち会った私としては、なんとなく雰囲気はとらえているものの、細かいところでは間違いというか、微妙に気になる点が多かったです🤣 執行官の元職の方が考証しているみたいですが、数十年前に退職した方かどこかの地方の執行官だったんだろうなあと思います。

 

毎回のように違和感を感じていたのは、公示書を紙そのままで壁に貼るところ。思い出せば20年くらい前までは、たしかに紙を直接、壁に貼付していた記憶があります。んが、一都三県の執行官は最近はほぼ全員が下記のようなクリアポケットに公示書を入れてから、壁に貼り付けています。いまだに紙を直貼りしている地方があるのかもしれませんが、東京近郊ではまず見かません。

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公示書がなんだかわからんという方には、コピーを示します。あまり公になる文書ではないので、わざと画像小さくしました。すみません。要はいついつまでに出て行かないと、○月○日に強制執行しますよ、というお知らせ文です。執行官によってスタイルが若干違ったりしますが、書いている内容はほとんど同じです。明渡の執行の場合は、下記のような公示書を玄関入ってすぐあたりの壁に貼るのがデフォルトです。部屋の壁に貼ることもありますが、それはまあ、特殊な場合です。

 

 

 

ちなみに東京地裁でも執行官の部署は「執行官室」ですが、ドラマにいた執行官室の「室長」は私の知る限り存在を知りませんW 執行部の「部長」や「幹事長」はいるんですけどねえ。人数も昔は東京本庁の執行部だけで30人以上いたんですが、いまは東京本庁で7人、立川で4人……。ドラマの執行官室は、人数的には、比較的人口が多い地裁の執行官室でしょうねえ。間違っても東京地裁の本庁じゃないです。目黒にはあるんですけどね、東京地裁本庁の執行官室。ドラマは南目黒でしたっけ?

 

さらにさらに、すんごい細かい話ですが、たしか1話目で、執行事件の件数を月100件とか話していましたが、ちょっと少なすぎますヨW 令和5年9月の現時点で、東京地裁本庁の住宅明渡執行、いわゆる執(ロ)の事件だけで4000件をかるーく超えています。月500件にちょっと欠けるくらいです。これに動産差押えなどの執(イ)事件もありますから。だいたい月100件というと、東京地裁でも立川支部とか、さいたま本庁、千葉本庁、神奈川本庁あたりの件数だったりします。

 

防犯的にいろいろマズイからなんでしょうけど、開錠技術者(いわゆる鍵屋)のカギ開け風景も違和感ありまくりでした。そもそもピックと呼ばれる特殊工具を使ったピッキングは、下のようなシリンダー錠でしか使えません。

出典/小学館 デジタル大辞泉より

最近主流の鍵穴が横だったり、カギに凹みが刻まれているディンプルキーを使うタイプのカギは、ピッキングじゃ開きません。そんなことできる鍵屋、見たことも聞いたこともありませんW

 

 

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ドラマだし、細かいところまで検証しきれないのはしょうがないですが、細かいところが気になりすぎて、どーも感情移入できませんでした。

 

最終話の子どもの執行ですが、最近はかなり運用が変わって子どもが拒否すると執行しないんですが、ひと昔前は、学校なり保育園、幼稚園等に出向いてかなりむりやり行っていたりしました。担当の執行官が「今日は誘拐にいってくる」って自嘲するのを何度も聞いた記憶があります。

 

あ、そうそう、執行官とか補助業者とか鍵屋の服装は、なんとなーく雰囲気とらえていました。まあ、なんとなーくですけど。