競売不動産の現地調査① 東京地裁本庁令和4年(ケ)619号
わりと近所に手頃な売却基準価額の戸建てが競売に出てたので、現地調査というほどではないけど見に行ってきました(❁´◡`❁)。 この物件には入札しませんけどね。本気度MAXの入札する気マンマン物件から、ちょっと気になるなあって程度の物件まで、時間が許せば現地を見に行くことが多いです。
つーか、現地に行かないとわからないことが、多々あるんですよ! 写真のキャプションでもタネ空かししてますけど、この家のドア、鍵穴がない電子錠でした。落札後に元所有者と交渉して鍵がもらえなかったら、カギ開け困難案件になります🤣 解錠や交換にかなーり手間がかかります。築年的にも設計書類も欲しいところですから、元所有者には会いたいですねえ。
ちなみにもっと大きな発見もあったんですが、それは最後まで引っ張りますw
外観は、写真のとおり。夕方だったので写真が暗くてすみませんm(_ _)m
裁判所の3点セットに載っていた物件概要
期間入札の公告:令和5年8月30日
入札期間:同年9月14日~21日 開札:同9月27日
土地:50.14㎡ 42条1項3号の5m私道に約7.8m接道
建物:50.11㎡(木造2階建1LDK) 平成30年6月30日築(登記)
上から目線で申し訳ございませんが、この3点セットの中の評価書を書いた不動産鑑定士さんは、まあまあの仕事してます。てきとーな人もホント多いんです。
んがあ! せっかくホメたのになんですが、下水道が「敷地へ引き込んでいると見られる。引き込み経路はわからない」とか上水道は「北西側隣地を経由して引き込まれている。隣地の利用に関する取り決めの存否・内容はわからない」ってカミングアウトしています……。
大事な大事なライフラインに関してが不明すぎませんかあ😭 とはいえ、建築計画概要書の内容は確認してくれていて建築主は判明してるんで、ggrks(ググれカス)! 建築販売業者は、すぐ近くの建売屋さんぽいです。建築10年以内(新築住宅の保証期間内)なので、所有者になればそこら辺のことは、建築主売主に聞けば判明するかもしれません。
ちなみに3点セットがなんぞや? という方は、次回以降の記事で解説する予定ですので、ご了解ください m( _ _ )m 下記のリンク先で見ることでできます。BIT(ビット)のほうが公式HPですが、981.jpの方が検索しやすいです(ポジショントーク込みw)
公図や登記簿取得してみた
物件調査するときはかならず当該物件の登記簿、公図、あれば地積測量図、必要ならば隣地の登記簿も取得します。昔は法務局行って、地図で地番調べてから申請してを繰り返す半日がかりの、そりゃあ大変な作業でした。が、いまは便利なネットサービスがあります。単価もちょっとだけ安いです。
ものの10分ちょいで物件の登記簿と公図、ついでに私道の登記簿も取りました。この土地は平成23年にも整理回収機構に債権譲渡されたことがあるみたいです。
ちなみ今回の差押えの原因になった債権は、債務者の物件取得と同日なので、住宅ローンですね。楽天銀行なのでフラットかなあ? 3050万が債権額なんで、フラットだとすると新築物件価格は3980万~4180万ってとこかなあ、とか登記簿みてるだけでいろんな想像ができちゃいます(^-^)
私道持ち分がないいい!
3点セットでは前面道路に関して「私道敷きの管理・使用に関する当事者間の取り決めの存否・内容は分からない」と書かれています。所有者は複数個人。地番でも1041-4、1041-43、1048-3あたりが前面道路っぽい。この持分があって、債権者がちゃんと把握していたら、今回の競売の対象になっていたんでしょうけど、残念ながら競売の対象物件は家の敷地と建物の二つだけ。まあ私道の登記もチェックしましたが、見事に持分がありません。持分がないと、普通に住んだり生活したりする分にはなんの問題もありませんが、家を建て替えるために道路掘削したいとか、車で通行したいとかって場合に問題になります。地主様の承諾を事前にもらっておかないといけないんですよ……。そのあたりも落札できたら建売業者に確認ですね。
余談ですが、この物件が建っている練馬区には、敷地の最低限度が決められています。当該地では80㎡で、それ以下だと建物が建てられません。この物件はそれ以下です。まあ制限がかけられる前に分筆されていて、他にもいろいろ条件あるのですがそれらがクリアできれば建築OKなんですが、そのあたりは入札前に練馬区の建築課に詳細確認したほうがいいかもしれません。
人の気配がしない!?
個人個人で違うと思いますが、現地調査のクライマックスは債務者とのコンタクトだと思っています。東京の競売物件だと、競売の公告にいたるまで、最初は取立の債権者、次は任意売却をすすめる不動産業者、最後は3点セットを見てやってきた業者や個人……、もうチャイムがなってもぜったいに出ない!って思うほど、わんさか人がおしよせているはずです。
でももし、チャイムならしてドアを開けてくれたら、3点セットじゃ分からなかった(写真が数枚しかない)玄関の中とか債務者の雰囲気、人柄なんかを感じることができます。せっかく現地までいったのですから、チャイム鳴らさない手はありません。まあ、家が競売になっていること知らない家族が出てきて話をしたら泣かれた、ってことも過去にありましたけど。
でもこの家、チャイム押す前に気が付いていたんです。物件調査でダテに数千件以上の家を訪問していません。👍 なんか人の気配がないような?
3点セットの写真だと自転車が数台とまっていましたが、私が撮影した写真には自転車ありません。テレビドアホンの赤のパイロットランプ(運転中ランプ)も消えています。まあ、たまにチャイムなるのが嫌で、切っている人もいますが。
予感がしたので、横にあった電気メーターをスマホの望遠カメラで撮りました。拡大すると……
この猛暑の中、電気が止まっています。電気を止められた? それなら雨戸シャッター開けて明かり&空気入替してるはず。
つーことは? そう、早くも所有者は転居済み! 競売初心者の方は住んでいる人がいないほうが良いと思いがちですが、私は個人的にそのまま住んでいるほうがありがたいです。交渉して鍵ももらったりできますし、設備の状況とかも聞けますし。
落札後、競売の記録の中に事件関係者だけが見ることができるものがあるのですが、その中に債務者の電話番号等が残っていればいいのですが、無ければ債務者の居所を探す手間が必要です。なんてったって、この物件、鍵穴がない電子錠なんで、鍵ないと開けるの困難です。街の鍵屋呼んだって1000%空きません。
ちなみにこの物件、いくらぐらいで落札できるでしょうか? 1773万円が売却基準価額です。最近の東京地裁の物件は売却基準価額の1.6倍~2.5倍くらいで落札されています。単純計算では2900万円~4400万円となります。とあるシステムで平均落札額を計算すると3900万になりました。
下記のレインズでの売買価格も加味して考えると、3000万以下だとおいしいけど、3500万円超えると転売益がなくなりそうです。
3100万円~3300万円が落札価額じゃないかなあと、勝手に推測してみました。開札は令和5年9月27日です。どうなりますやら。