競売 公売 ときどき断行(強制執行)

不動産の競売や公売のあれこれ たまに強制執行について話します

これ、ぜったい落札しちゃいけないヤツだあ?w (個人の感想です)

 

本日9/22からの特別売却(期間入札では入札がなかったので、早い者勝ちで買えるよう変更した)物件で、個人的には

絶対入札しちゃいけない

って思っている種類の物件を見つけました。さいたま地裁川越支部令和5年(ヌ)2号事件です。売却基準価額は216万円ですが、今朝10時に裁判所に行って、他に誰も競争相手がいなければ、172万8000円で落札できる物件です。狭山の昔の公団団地で、一般売買なら350万前後で売られている物件なので、200万円以下なら破格は破格です。が、私はぜったーい買いませんし、たぶんよく知っているプロ、セミプロも入札しません。

3点セットの外観写真のページです

 

買ってはいけない理由は複数あるのですが、この物件にはかなり強力なダメポイントが複数あります。

 

その① 引渡命令が出せない賃借人が家賃滞納中。

家賃額は5万2000円と高めで収益物件とすると、なんだかんだで300万(落札価額+登録免許税+滞納分等、)で買えたとすると実質利回りで15%を超えてきます。表面利回りだと20%越えです。悪くはありません。んがあ、3点セットには、以下のように書いてありますw

賃貸借契約をしてから一度も家賃は支払ってません

賃貸借契約をしてから一度も家賃は支払ってません

大事なことなんで、2回も書いちゃいましたw 遅れたどころじゃなく、一回も払っていないんです。生活保護もらえば払えるのに、それすらしないって、どういうこと?

 

しかも、しかもです。3点セットには、こうも書かれています。

 

最先の賃借権というのは、かいつまんでいうと、買受人が買ったから「出て行け」とは言えない賃借権のことです。もっとも、買った→家賃が払われない→明渡の裁判→強制執行……という手順を踏めば、追い出すことはできますが、そんなことしていたら、たぶん実質の利回りは10%以下になってしまいます。投資家は買いません。そんなの。もちろんプロもセミプロも見向きもしません。

 

 

その②

古い公団物件でエレベーターがない5階建てである。この時代の公団物件には、エレベータがなく、5階だとそこまで階段を上らないと行けません。それなりに需要があるのは1~2階までで、この物件は2階なので、その点はいいのですが、3~5階が需要激減すぎて格安でも売れなかったりするため、それに引っ張られて1~2階も安値安定です。

 

その③

関連部分を3点セットから抜粋しました。以下のとおりです。

 

 

区分所有法の規定で、管理費や修繕積立金等の滞納分やそれにともなう遅延損害金、弁護士費用等は、物件を買い受けた特定承継人にも引き継がれます。令和5年9月までだとすると滞納分だけで88万5000円ほど。他に遅延損害金と弁護士費用(費用不明)がかかってきます。

大事なところは、弁護士という記述の有無です。弁護士が介入している案件では、遅延損害金はきっちり取られると思ってください。管理組合との交渉であれば、遅延損害金くらいマケてくれたりします。実際、マケてもらったことも何度もあります。でも弁護士が介入していると、ほぼマケてもらえません😢 そもそも年利14%とかの遅延損害金。いまや高利貸しクラスの利率です。税金滞納でもそこまで高くないのに……。

 

しかーも、その弁護士費用がいくらなのか、明記されていません。20万なのか50万なのか、100万なのか?

 

この時点で計算するとわかると思いますが、一般物件として売られている同じ団地の物件を買ったほうがよっぽど安い可能性が高いです。

 

その④

ここの管理組合法人は、ビタ1円まけてくれない。なんでそんなこと知っているかって? どうしても物件が買えないときに、特売でこの団地の物件に手を出しちゃったことがあるんですw かなり昔ですが。

で、その時ですが、滞納の管理費は買受した即日に払いました。しかもその分は、前所有者の転居先を探して、きっちりいただきました。でも、前所有者から遅延損害金までは請求できませんでした🤣 さすがにそこまはと思ってしまったんです。

で、遅延損害金くらい管理組合のほうでいくらかマケてもらえないかと、かなーり交渉したんですが……、ここの管理組合はビタ1円もマケません。なので、以来、この団地は入札からハズしています。

そもそも前所有者は、隣駅に居住していて、私もすぐに会えたくらいなので、管理組合で探そうと思えば探せたと思います。前所有者は滞納分の支払も分割でしたが、すぐにやってくれました。探して請求していれば、たぶん遅延損害金は発生しなくて済んだのではないかなった

たぶん、私と同じ目に遭った方は、かなり多いのだと思います。この団地の競売、公売物件は、他の団地と比較しても、かなーり不人気です。

 

逆に、管理組合によっては、滞納分の管理費等を免除する決議をしている旨が、競公売の公告や3点セットに書かれていることも、少ないですがあったりします。入札する人がいないと、ずっと空き家のまま売れず、結局、管理費も修繕積立金ももらえず仕舞いで、最後には管理組合で買うしかなくなってしまう。ってケースも少なくないからです。早めに売れたほうが、結果として管理組合としての利益になるという判断なのだと思います。

 

どちらが正しいのかは、なんとも言えないところですが、私は個人的にこのS団地物件は買いません。

この特別売却で売れなければ、8割くらいの再評価額で再度、期間入札の公告が出されることになります。売却基準価額が170万くらいになる計算ですが、そうなると最安での落札は170×0.8=136万くらい。このくらいになってくると、事情を知らない方が落札してくると思います。でも今住んでいる居住者に出て行ってもらう手間ヒマお金を考えると、安いとは言えません。